『読心力 ①』

幼い頃から私は、
人の目の動きや、表情、身振り手振りやしぐさ、
声の大きさなど、話をする時の様子を、
とても興味を持って視ている子供でした。
「人が話す言葉の意味と、
その話をしている人の心が、実際には違う」
と言う事を、わずか5歳の時にすでに知っていました。
なぜ、5歳だったと記憶しているの?
不思議に思われると思います。
なぜなら、
「人の話す言葉と、その心が違う」
と言う事が、はっきりわかった瞬間の事を、
覚えているからです。
私には、3つ歳の離れた妹がいます。
私たち姉妹は保育園に通園しておりました。
物凄くお姉ちゃん子だった妹は、姉の私と違うクラスに
入っていかなければならない事、本当は保育園に行きたくないのに、
朝になったら、行かなくてはならない事・・・etc。
妹は保育園が大嫌いでした。

そんな妹の手を引いて、毎朝登園していた夏のある日、
私と離れなければならない下駄箱の前に到着した瞬間、
妹はまた、いつもの様にしくしく泣き始めました。
しばらくして、妹の最年少クラス担当先生の一人が、
妹を下駄箱まで迎えに来ました。
「おはよう。今日もお姉ちゃんと来たんだね。さっ、先生と教室行こう」
するとその瞬間、妹は先ほどよりさらにもっと大きな声で泣き始めたのです。
と同時に、私は繋いでいた妹の手をさらに強く握りました。
先生が差し出してくれた手をつなごうとはしませんでした。
妹の手も、思わず隠してしまいました。
担任の先生が、ニコニコ笑って出迎えてくれている顔とは全く違う
担任の先生の感情がみえたのです。

私たち姉妹は、母が迎えに来るまでの、
朝9時~夕方4時くらいまで保育園にいましたが、
年少クラスで過ごす妹の1日の出来事が一瞬にして、瞬時に
見えたのです。 妹は悲しい顔をしていました。
その担任の先生は、特に、妹にひどく、強く接していました。
とても怖い先生でした。私は妹がとてもかわいそうに思えて、
その先生の目をしっかり強く、瞬きもせずみつめてみました。
すると、先生の心の声をキャッチしてしまったのです。
それ以来、私はその先生がとても苦手でした。